ゴルフ練習場業界全体動向

掲載データについて
ここに掲載されている練習場に関するデータ、資料、グラフ、理論は、すべて当社の独自の調査、分析によるものです。これらのものを無断で使用、転載することは、著作権違反となりますので、必ず当社の承認を得てください。
(有)ケージーアール出版 (株)ゴルフ経営研究所
弊社では、毎年ゴルフ練習場業界全体の動向について調査し、4~3月の年度単位で集計、発表している。
対象となるゴルフ練習場は、下記の定義に基づく。

 2022年度全国ゴルフ練習場の施設数と利用状況

 (株)ゴルフ経営研究所の共同調査による2022年度(22年4月~23年3月)の「全国ゴルフ練習場の施設数と利用状況」がまとまった。それによると施設数はインドア施設の増加により、前年度比5施設増え、2,872施設(0.2%増加)となった。施設数が増加に転じたのは30年ぶり。最多期は1992年度で5,420施設が存在したが、その後減少に転じ、累計で2,548施設少なくなり、供給市場はピーク時の約半分に縮小している。一方の需要は2019年度から上向きに転じ、20、21年度はコロナ禍で懸念されたものの、練習場特性が幸いし1965年の調査開始以来最大値を記録した。しかし22年度になるとコロナ規制が解禁、一転反動減となり、延べ利用者数は前年度比3.7%、372万5千人減少の9658万3千人となった。一施設当たりでは前年度比3.9%、1,358人減少の33,629人となった。
 ゴルフ練習場業界は2010年度から落ち込み、11年度は震災と原発問題、12年度も後遺症が続き、13年度は大雪など異常気象で低迷、14年度は消費税増税があり回復の兆しに留まった。15年度でようやく一施設当たりに回復傾向が現れた。しかし16年度は熊本、鳥取と大型地震が相次ぎ、17年度も一進一退の横バイで推移。18年度になると大阪地震、西日本豪雨、北海道地震に酷暑と大型台風が加わり低迷。19年度は千葉県での鉄塔倒壊、消費増税があったものの、スタープロの活躍もありゴルフ人気が再来。20、21年度は〝コロナ特需〟で沸いたものの、22年度はその人気を当て込んだインドア施設の乱立、反動減が重なり、一転マイナスに転じている。この傾向は23年度まで続いている。

「ゴルフ練習場」の定義
 ゴルフの練習を主たる目的とした複数打席を有した施設で、利用料金がある場合は会員制、非会員制、飛距離大小、屋内外を問わず含まれる。ゴルフ場に併設している場合は、敷地外で単独で一般営業しているケースは含まれるが、ゴルフ場内の付帯施設としている場合は一般開放していても、これを除く。ただしインドアにおいては「レンタルルーム」形式や、トレーラーハウスでの移動打席、ホテルやマンション内に設けられた打席、ゴルフショップの試打兼用打席、さらには遊戯施設や「ゴルフバー」などにみられる遊戯性を主とした形態のものは除く。

上記に関する参考資料
●全国ゴルフ練習場施設数、利用者数の推移

 第48回全国ゴルフ練習場経営調査結果(2024.3)

練習場の景気動向

総論
 コロナ特需で沸いた20、21年。22年になると一転、反動減による下降傾向が表れ、23年まで続いた。今年はどうだろうか。練習場の最新景気動向を知る「第48回全国ゴルフ練習場経営調査」(当社調査)によると、景気動向を示すDI値(diffusion index ディフュージョン・インデックス。上昇(増加)回答割合から下降(減少)回答割合を引いた指数)からみると、2024年の「景況感」は▲(マイナス)34.1となり、昨年より16.6ポイントの後退となった。2023年実績の「来場者数」では、前年の▲26.8から23.9ポイント後退し▲50.7に。同様の「売上高」も23.1ポイント後退し▲44.6になり、三部門とも悪化、来場者部門はマイナス50の不景気ゾーンまで落ち込んだ。動向としては明るい数値ではないが、直近数か月の実績値は23年対比で微減粋から同率水準に入っており、徐々に回復中。ゴルフ人気は決して衰えてはいない。コロナ後のゴルファー指向の多様化、供給市場の形態変化(シミュレーターのみのインドア施設の乱立)はあるものの、改めて練習場本来の自然相手、憩い、集いの場としての魅力が見直されるだろう。受け入れ側は、機器だけに頼らず一層地道な活性化対策、魅力の舞台の構築を目指すべき。 

◎景況感
 練習場経営者が捉える2024年2月時点の「景況感」だが、今年は「良くなる」回答は全体の15.2%で、昨年の同様回答21.3%から減少した。一方「悪くなる」回答は49.3%で、昨年の38.7%から増加した。
 業況判断をみるDI(プラス50以上が好景気、▲50以下が不景気)は全国値で▲34.1となった。しかし、22年から始まったコロナ特需の反動減は昨年をピークに改善方向に向かっている。若年者、女性の来場者はインドア、シミュレーションに流れたものの継続している。一方で、高齢者層のリタイアが進行しているが、逆に混雑していたコロナ期を敬遠していた本格層の中高年層がリターン中。
「景況感」地方別DI
■北海道・東北地方 ▲25(32.7ポイント後退。「良くなる」25%、「悪くなる」50%)
東北のみでは▲14.3。北海道の落ち込みが大きい。
■関東地方 ▲25(18ポイント後退。「良くなる」20.5%、「悪くなる」45.5%)
都心部は諸物価高騰での消費自粛、インドア乱立、屋外減少で色分け。景気に敏感で影響を受けやすい。
■中部・北陸地方 ▲40.6(16.4ポイント後退。「良くなる」9.4%、「悪くなる」50%)
北陸は「悪くなる」回答0。中部に降下回答が多い。
■関西地方 ▲25(14.1ポイント回復。「良くなる」20%、「悪くなる」45%)
唯一前年より回復値。施設規模の大きい関西は起伏が大きい。
■中国・四国地方 ▲20(5.7ポイント後退。「良くなる」20%、「悪くなる」40%)
「悪くなる」回答が全国一少なかった。
■九州地方 ▲65(31.7ポイント後退。「良くなる」0%、「悪くなる」65%)
「悪くなる」回答が全国一多い。DIも全国一低く不況ゾーン。全体的に低料金と、それに伴う消費単価が低いのが悩み。ただし、練習熱心で練習個数は多い。

◎来場者実績
 「来場者数」部門では「23年実績が22年より増加した」施設の割合は全体の14.8%で、前年の同回答23.9%より少なくなった。一方「減少した」施設割合は65.5%で、前年の50.7%より増えた。「変わらず」回答は19.7%(前年25.4%)。
 この結果、全国のDIは▲50.7となり、2年連続の大暴落となった。それだけコロナ特需が異常高だったともいえる。
 だが、地域的にはかなりの温度差がある。
 22年実績が全国一悪かった中国・四国が23年実績では大きく回復、プラスにこそならなかったがDIは0になった。悪かったのは、中部・北陸と九州。特に九州は増加回答が0。
 来場者部門23年実績の地域別DI順は①中国・四国0.0(前年▲58.3)②北海道・東北▲7.1(▲15.4)③関東▲40.9(▲23.5)④関西▲63.2(▲20.0)⑤中部・北陸▲76.5(▲18.8)⑥九州▲78.9(▲50.0)。

◎売上実績
 「売上」部門のDIは前年の▲21.5から23.1ポイント後退し、▲44.6になった。
 23年実績が22年より「増加した」回答は、昨年調査の27.5%から15.1%になり、「減少した」回答は昨年の49%から56.7%になり、この部門も大きく落ち込んだ。
 売上部門の地方別DIは①中国・四国▲9.1(前年0.0)②北海道・東北▲21.4(▲54.6)③関東▲34.9(▲15.1)④中部・北陸▲52.9(▲5.7)⑤関西▲66.7(▲43.5)⑥九州▲68.4(▲42.9)。
 2023年実績値では、全体にコロナ特需の反動減が続く中、中国・四国の回復度が高く、次いで北海道・東北。大都市圏ほど影響が長引いている。

「全国ゴルフ練習場経営調査」について
 「全国練習場経営調査」は当社が毎年2月に実施しているもので、今年で48回目。対象は全国のゴルフ練習場施設(※練習場の定義による)2,867施設で、有効回答集計数は300施設。地域内訳は施設分布比例に準じ、北海道・東北28(集計配分9.3%)、関東95(31.8%)、中部・北陸70(23.2%)、関西42(13.9%)、中国・四国26(8.6%)、九州40施設(13.2%)。
 また、本調査値はアンケート方式のため、比較的積極的な経営者が回答する傾向にあり、業界全体値「練習場の利用状況」とは異なる。練習場業界の推移等全体の流れをみる場合は「利用状況」を、経営指標等には本調査値を参考にしてください。

参考資料(Excel形式)
●ゴルフ練習場の経営調査結果平均値一覧(2024年)Exel形式

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