当社(㈲ケージーアール出版及び系列調査機関である㈱ゴルフ経営研究所)調査による2024年度(2024年4月~2025年3月)の「全国ゴルフ練習場の施設数と利用状況」がまとまった。それによると練習場施設数(下記「練習場定義」による)は、インドア施設の増加により、前年度比46施設増え2932施設(1.6%増加)となった。22年度で施設数の減少が30年ぶりに止まり3年連続の増加。とはいえ、最多期は1992年度で5420施設が存在したがその後減少に転じ、累計では2488施設少なくなり、供給市場はピーク時の約半分以下に縮小している。一方需要は、20、21年度にコロナ禍があったものの「家近・手軽・安全」の練習場特性が幸いし「コロナ特需」となり、1965年の統計開始以来最大値を記録した。しかし22年度以降は反動減となり、利用者数が減少した。ようやく24年度で0.5%、43万9千人増加し9548万8千人となった。しかし一施設当たりでは、インドア施設の増加もあって前年度比1.1%、367人減少の3万2568人となった。
練習場業界の推移は10年度から落ち込み、11年度は震災と原発問題、12年度はその後遺症、13年度は大雪など異常気象で低迷、14年度は消費税増税があり回復の兆しに留まり、15年度でようやく一施設当たりに回復傾向が現れた。しかし16年度は熊本、鳥取と大型地震が相次ぎ、17年度も一進一退の横バイで推移。18年度になると大阪地震、西日本豪雨、北海道地震に酷暑と大型台風が加わり低迷。19年度は千葉県での鉄塔倒壊、消費増税があったものの、スタープロの活躍もありゴルフ人気が再来。以後は前述の通り。25年度は供給面では増加したインドア施設の淘汰、再編成と併せ、老朽化した屋外中小規模施設の閉鎖が続く。需要面では少子化、物価高騰による消費の引き締め影響から一施設当たりは微減域推移となろう。
練習場の景気動向
総論
コロナ特需で沸いた20、21年。22年になると一転反動減となり、徐々に下げ幅は少なくなってはいるがその傾向は2024年まで続いた。今年はどうだろうか。練習場の最新景気動向を知る「第49回全国ゴルフ練習場経営調査」結果によると、景気動向を示すDI値(diffusion index ディフュージョン・インデックス。上昇(増加)回答割合から下降(減少)回答割合を引いた指数)からみると、2025年の「景況感」は▲(マイナス)30.9となり、昨年より3.2ポイント回復した。2024年実績の「来場者数」では、前年の▲50.7から13.1ポイント回復し▲37.6に。同様の「売上高」も13.5ポイント回復し▲31.1になり、三部門ともようやく底を脱し、上昇傾向に転じた。いまだマイナス域ながら、動向としては3年ぶりに明るい兆候が見えてきた。ゴルファー指向の多様化、供給市場の形態変化はあるものの、改めて練習場本来の地域密着、憩い、集いの場としての魅力が見直されるだろう。受け入れ側は、機器、装置だけに頼らず一層地道な活性化対策、サービス業として魅力の舞台の構築を目指すべきである。
◎景況感
練習場経営者が捉える今年2月時点の「景況感」は、今年が「良くなる」回答は全体の15.4%で、昨年の同様回答15.2%から微増した。一方「悪くなる」回答は46.3%で、昨年の49.3%から3%減った。業況判断をみるDI(プラス50以上が好景気、▲50未満が不景気)は▲30.9となり、昨年の▲34.1から3.2ポイント回復となった。コロナ特需の反動減は、昨年を底に右肩上がりに転じた。近年のインドアラッシュは初心者、若年層、女性を呼び寄せ、屋外型は本格派、中・高齢者を中心に微増している。が、並行して高齢者層のリタイアも進行している現況。少子化によるパイの縮小は必須、絶対数不足をリピートでカバーするには地域に根差した魅力の創造しかない。
- 「景況感」地方別DI
- ■北海道・東北地方 0(25ポイント回復。「良くなる」回答27.3%、「悪くなる」回答27.3%)
- 前年落ち込んだ北海道が大幅に回復。
- ■関東地方▲25.5(0.5ポイント後退。「良くなる」12.7%、「悪くなる」38.2%)
- 都心部は諸物価高騰での消費自粛、インドア乱立、屋外減少で色分け。景気に敏感で先行き不安感が強い。
- ■中部・北陸地方▲48.4(7.8ポイント後退。「良くなる」12.9%、「悪くなる」61.3%)
- 中部に降下回答が多い。
- ■関西地方▲29(4ポイント後退。「良くなる」16.1%、「悪くなる」45.2%)
- 施設規模の大きい関西は起伏が大きい。
- ■中国・四国地方▲33.3(13.3ポイント後退。「良くなる」16.7%、「悪くなる」50%)
- 昨年はDIが最も高く、今年はその分落ち込んだ。
- ■九州地方▲40(25ポイント回復。「良くなる」20%、「悪くなる」60%)
- 昨年不況ゾーンまで落ちたが今年は大幅回復。北海道・東北に次いで増加回答が高い。練習熱心だが低価格で客単価が低い。
◎来場者実績
「来場者数」部門では「24年実績が23年より増加した」施設の割合は全体の19.1%で、前年の同回答14.8%より増加した。一方「減少した」施設割合は56.7%で、前年の6505%より減った。「変わらず」回答は24.1%(前年19.7%)。この結果、全国のDIは▲37.6となり、前年調査の▲50.7から13.1ポイントの改善となり、未だマイナス域ながら反動減の底を脱した。だが、地域的にはかなりの温度差がある。24年実績が改善されたのは北海道・東北、中国・四国地方を除くその他地域。特に中国・四国は23年実績で大きく回復し、DIは0になったが、24年実績は逆に大きく「減少」回答が大半を占めた。
来場者部門24年実績の地域別DI順 ①関西▲10.0(前年値▲63.2)②北海道・東北▲33.3(同▲7.1)、関東▲33.3(同▲40.9)④中部・北陸▲57.1(▲同76.5)、九州▲57.1(同▲78.9)⑥中国・四国▲83.3(同0.0)。
◎売上実績
「売上」部門のDIは前年の▲44.6から13.5ポイント改善し▲31.1になった。
24年実績が23年より「増加した」回答は、昨年調査の15.1%から22.2%になり、「減少した」回答は、昨年の56.7%からやや減り53.3%になった。北海道・東北はマイナス域を脱し、九州も大きく改善した。
売上部門の地方別DI ①北海道・東北9.1(前年値▲21.4)②関西▲10.7(同▲66.7)③九州▲33.3(同▲68.4)④関東▲36.7(同▲34.9)⑤中部・北陸▲48.3(同▲52.9)⑥中国・四国▲66.7(同▲9.1)。
2024年実績値は全体に反動減が続く中、23年に回復度が高かった中国・四国が停滞、北海道・東北が伸びた。また、料金改定で伸びた施設も多く、「売上」部門と「来場者部門」の傾向は必ずしも一致しない。
「全国ゴルフ練習場経営調査」について
「練習場経営調査」は本紙及び提携する㈱ゴルフ経営研究所が毎年2月に実施しているもので、今年で49回目。対象は全国のゴルフ練習場施設(※練習場の定義による)2,886施設で、有効回答集計数は300施設。地域内訳は施設分布比例に準じ、北海道・東北25(集計配分8.4%)、関東109(36.4%)、中部・北陸61(20.1%)、関西62(20.8%)、中国・四国12(3.9%)、九州31施設(10.4%)。
また、本調査値はアンケート方式のため、比較的積極的な経営者が回答する傾向にあり、業界全体値「練習場の利用状況」とは異なる。練習場業界の推移等全体の流れをみる場合は「利用状況」を、経営指標等には本調査値を参考にしてください。